養父市八鹿町石原を起点に、妙見山の東山麓から金山峠を通過し、香美町村岡区と豊岡市日高町にまたがる蘇武岳の山頂近くを北上し、豊岡市日高町万劫に至る林道です。この林道の沿線には起点付近に6世紀頃開山建立された、但馬妙見日光院をはじめ、妙見山八合目(標高約800m)林道起点から8㎞付近の名草神社、各参拝道沿いの堅い岩塊に刻み込まれた磨崖仏が各所に残されているなど妙見信仰への歴史が残っています。特にこの名草神社には樹齢数百年にも及ぶ妙見杉の母樹林をはじめ、出雲大社から1665年に移築された三重塔や本殿・拝殿などの歴史的建造物があり、これらは国の重要文化財に指定されています。さらに、この林道沿線では西側に広がる氷ノ山・鉢伏山系や兎和野高原、東側の神鍋高原等への眺望や、金谷から阿瀬四十八滝、金山廃村を経て金山峠へ至る阿瀬渓谷めぐり、蘇武岳への「すぐそこ登山」や銚子ヶ谷湿原のカキツバタ群生地観賞など、多彩なツーリズムを楽しむことが出来ます。
妙見・蘇武線から連続する三川線は、豊岡市日高町万劫を起点として白菅山(896m)の東側をとおり三川山(888m)の西側山麓を北上して、香美町香住区隼人に達する林道です。三川山周辺では、シャクナゲの群生地やブナの原生林があるなど、貴重な自然環境が残されています。また、東山麓には日本三大権現のひとつ「三川権現」が祀られています。なお、この林道は大半が舗装されており、但馬山岳から日本海まで快適な山岳ドライブも楽しめます。一方、沿線各所からの日本海眺望はもとより、小城渓谷や西ヶ岡の棚田など、隠れた森林ツーリズム資源の宝庫となっています。
美方郡香美町村岡区の国道9号線を起点に、兎和野高原・瀞川山・鉢伏山の山麓を経て養父市大久保のハチ高原に至る鉢・瀞川ルートとさらに養父市福定から県下最高峰の氷ノ山(1,510m)の山麓を通過し養父市大屋町の奥山国有林と宍粟市波賀町の坂の谷国有林を経て宍粟市波賀町戸倉の国道29号線に達する氷ノ山ルートを併せた林道です。
この林道は、県下で最初に完成した森林基幹道ですが、先行して開設されていた国道29号線側からの約8㎞は兵庫森林管理署(国)が管理し残る37.4㎞を兵庫県が管理しています。沿線の大半が氷ノ山後山那岐山国定公園内にあり、1000mを超す山々をはじめ、渓谷・滝・高原・原生林・巨木など豊かな自然に恵まれています。このうち鉢・瀞川ルートの兎和野高原には県野外教育センターや、安藤忠雄設計の木の殿堂、但馬高原植物園など体験学習施設や和池・兎和野の大カツラやレンゲツツジなど見どころがいっぱいです。
さらにこのルートの瀞川山頂部には、林道では大変珍しい1.2㎞の直線ラインがあり、左右のスギ林とカラマツ林のコントラストや「すぐそこ登山」で瀞川山制覇などを楽しむことができます。この二つのルートの接点となる鉢伏山山腹にはハチ・ハチ北・東ハチと呼ばれている高原が広がり、宿泊施設も多くスキーや登山をはじめとするレクリレーション基地として、四季を通じて多くの人々が訪れます。また、氷ノ山ルートにはブナやミズナラ・トチノキの原生林があり新緑と紅葉のシーズンはすばらしく、当協会でも毎年自然観察ツアーを実施しています。氷ノ山への登山コースのほとんどがこのルートから出ています。特に、福定起点から12.5㎞地点の「大段ヶ平」は但馬山岳の眺望がよく、氷ノ山登山の最短基地としても広く利用されることから森の駅:氷ノ山中央駅として整備されバイオトイレや駐車場も完備しています。 また、このルート沿線には、横行渓谷をはじめ、逆水の滝、羊ヶ滝などの滝もあり、渓谷と滝めぐりや初夏のスズコ採りなど、多様な森林ツーリズムの宝庫です。
日本三彦山の一つ「雪彦山」の麓姫路市夢前町山之内を起点として東側山腹を稜線に平行して東に進み神河町を通過して宍粟市一宮町東河内の坂の辻峠(県道8号線)に至る林道です。かつて修験場として信仰の対象となった雪彦山も、今はハイキングや岩登りなど登山者に親しまれており、特に近年はロッククライミングのメッカとして有名です。また、林道起点から2.3㎞には雪彦山信仰の麓支えとなった賀野神社が祀られ、この神社からの雪彦山眺望は一味違います。起点から8㎞付近では、好天時には明石海峡大橋が遠望できます。一方、10㎞付近からは人工林も多く、木材の搬出や林内整備が進められています。
雪彦・峰山線終点の坂の辻峠の下方を起点に暁晴山の山頂西側を回り込み、峰山連絡口、大河内高原ラインを経て砥峰高原へ至る林道です。この林道の沿線には、氷河期の周氷河作用によって形成された峰山高原と砥峰高原があり、雪彦・峰山県立自然公園として多くの人々に親しまれています。周辺の太田池・黒岩の滝見学や、リラクシアの森、峰山岩塊流を経て峰山から砥峰へ向かう緩やかな散策道は、初心者向けのハイキングコースとして絶好です。特に、砥峰高原はススキの名所として知られており、恒例行事となっている春の山焼き、秋の観月会、ススキ祭りには多くの方が訪れます。また、峰山・砥峰高原の一帯には軍馬の放牧用に作られたと思われる土塁が広範に残っていますが、現在のところ詳細は不明で、謎の歴史遺産となっています。
福知渓谷の上流、神河町川上を起点に既設林道と連絡しながら千町ヶ峰の南・東山腹を経て、段ヶ峰の西側を北上し、笠杉山の西側を通過して宍粟市一宮町黒原(国道429号線)に至る林道です。この林道起点下流の「福知渓谷」はひょうご風景百選のひとつです。また、千町峠北西には、林道の開通とともに脚光を浴びている千町岩塊流など貴重な自然遺産が残っています。
福崎町大貫を起点に北上し、釜坂峠・舟坂峠を経て、播磨富士の名で親しまれている笠形山の東山腹を縦断し、多可町加美区奥荒田の高坂峠東(県道8号線)を終点とする林道です。この林道は都市部からのアクセスも良いことから、林道ドライブやサイクリング・ランニングをはじめ笠形山・千ヶ峰山系への登山やトレッキングなど、身近に自然と親しむことができます。また、林道の周辺には日光寺や岩戸神社・笠形寺・笠形神社をはじめ、扁妙の滝や龍ケ滝など、史跡や自然の見どころがいっぱいです。特に、近畿百名山に選ばれている笠形山の中腹には国宝姫路城の心柱として神木ヒノキを提供した笠形神社があり、今も樹齢千年を越すスギ神木が残っています。周辺施設としては、ネイチャパークかさがた・なごみの里山都・リフレッシュパーク市川・グリーンエコー笠形など公的休養施設も充実しています。
多可町加美区奥荒田を起点として飯森山の東山麓を上り、稜線を越して神河町に入り千ヶ峰の西側山麓を経て千ヶ峰北部からは、稜線に沿って北上し、三国岳西側を抜け朝来市生野町黒川に至る林道です。この林道は南部の多可町及び神河町の一部で供用されていますがまだ未開通で、平成34年度の開通をめざし現在も工事が進められています。県下有数の林業地帯を縦断するこの林道の沿線はスギ・ヒノキの人工林が多くあり、今後、環境にやさしい循環資源としての木材の利用が期待されます。また、この林道沿線両側には清流杉原川と越知川が流れており、起点付近の新松か井の水公園をはじめ、越知ヶ峰名水・千ヶ峰南山名水・熊野神水など名水エリアとなっており多くの人々に親しまれています。このほか周辺には岩座神や奥猪篠の棚田、青玉神社や大畑神社、終点付近の黒川ダムや黒川渓谷など見どころがいっぱいです。